2020年 8月 の投稿一覧

債務整理を委任する際は、報酬が安くてもいいのでしょうか

はじめに

当事務所札幌借金相談センターは、債務整理(任意整理)において札幌トップクラスの安さを売りにしております。よく依頼者にこの値段で債務整理をして問題ないのか質問されますが、全く問題なく適切な料金設定だと考えております。

債務整理の依頼する際に一番重要なこと

債務整理を依頼する際一番重要なのは、価格ではなく、専門家が対応するかどうかです。債務整理を依頼する際には、専門家が対応してくるところを選び、その上で報酬が安いところを選ぶべきだと思います。

司法書士、弁護士事務所に依頼しているのに専門家が対応しないことがあるのかと思うかもしれませんが、実はそのような事務所はよくあります。ありがちなのは、広告量を多額にかけて大量に事件を受任する事務所です。広告費がかかるので、報酬は高くなりがちであり、大量に事件を処理するため事件処理は専門家ではなく事務員に任せることになります。もちろん事務員に任せている以上適切な債務整理は期待できません。例えば事案に応じて、任意整理か破産等法的整理にするかを選択する必要がありますが、破産に対応する法的知識がない場合、意味のない任意整理をしてしまうことなどが挙げられます。個人的な意見ですが、高額な報酬を請求する事務所は意外とこのような対応の事務所が多い傾向にあります。

債務整理の事務所の選び方

では、どのようにして債務整理の事務所を選ぶべきかですが、報酬は安い事務所で問題がないと思います。その上で一度専門家と面談し(債務整理の場合はルール上面談が必須です。電話相談だけで受任する事務所はコンプライアンスに問題がある事務所です)、しっかり話を聞いたうえで解決策を提示してくれるか確認しましょう。また報酬は明朗会計な事務所を選びましょう(報酬体系があいまいな事務所もありますが、そのような事務所に委任すべきではないと思います)。

まとめ 報酬が安くとも問題ありません

残念ながら、債務整理の業界においては、専門家がいる事務所に依頼したからといって適切な債務整理をしてくれるわけではなく、報酬が高いからといって質が上がるわけではありません。それなりの高額の報酬をお支払いするのであれば、しっかり面談をして、その事務所の良し悪しを見極めましょう。なお当事務所は、面談は必ず専門家が対応し、報酬は明朗会計です。もしお近くにお住まいでしたら、是非当事務所にご依頼ください。

司法書士松尾孝紀

任意整理と債務整理の違いについて

はじめに

任意整理と債務整理は言葉こそ似ていますが、具体的にどう異なるのでしょうか。一言でいうと任意整理は債務整理の一手段です。債務整理の方法として、任意整理、破産、民事再生がありますが、任意整理はその中の一つです。

債務整理とは

債務整理とは、契約通りに債務を返済できなくなった場合にする借金の整理のことです。その方法として、上記でふれたように任意整理、破産、民事再生があります。

任意整理の場合はあくまで債権者側の承諾をもとに内容を変更するので利息及び遅延損害金の減額や支払回数は交渉に応じてくれますが、元金の減額にはまず応じません。あくまで元金を弁済することになります。

破産や民事再生は、元金も弁済できない場合に裁判所の関与のもとで、元金を免責することができます。

任意整理とは

債務整理とは、債務(借金)が当初の契約通り返済できないため、債務の内容を変更(整理)することです。

任意整理は、債権者と直接交渉して、その合意によって(よって「任意」です)債務整理をするわけです。上記でも触れているように、将来利息と遅延損害金をカットの上、元金は返済していくこととなり、支払い回数は5年60回での支払いで交渉します。

破産、民事再生とは

一方破産、民事再生は、債務(借金)が当初の契約通り返済債権者はその手続きに関与することはできますが、内容の変更(主に債務の免責)につき、合意によって変更(よって任意ではない)するのではなく、裁判所の審判によって変更されます。

破産と民事再生の違いですが、破産は債務者の総財産(家具等はのぞく)を処分し、すべての債務を免責する手続きです。一方、民事再生は、すべての財産の処分を前提せず、また免責は総債務の5分の1まで減らすことができます。破産と民事再生の違いはいくつもありますが、実務的には、民事再生はマイホームを所持したままできるのが、一番大きな違いです。

司法書士松尾孝紀

 

過払い金の現状について

1.はじめに

今回は過払い金の現状についてお話したいと思います。よくCMやテレビ広告で過払い金という言葉を聞くことがあると思います。しかし、令和2年現在では過払い金が発生する事案というのはほとんどありません。当事務所の感覚では、100件に1件あればよい方だと思います。そのような現状にも関わらず、なぜCMやテレビでは過払い金という文言が飛び交うのか、また、そもそも過払い金とはどのようなものかについて考察していきたいと思います。

2.過払い金とは 

過払い金とは、過去に高い利息を払いすぎていた場合に、その払いすぎた利息を返還してもらう手続きのことを言います。

よくあるお問い合わせで、たくさん返済をしているのに利息ばかり取られてしまって、元金がほとんど減っていない、過払い金が発生しているのではないかというご相談があります。しかし、取引の状況を確認してみると、実際には過払い金が発生していないことがほとんどです。その理由としては、過払い金が発生する下記4つの主な条件に合致していないからです。

                                                              過払い金発生の主な条件
平成19年以前からの取引
グレーゾーン金利での取引(年利20%を超える取引)
キャッシングでの取引
完済してから10年経過していないこと

上記の条件を見てもらうと、過払い金発生の条件はかなり難しいことが分かると思います。

①の平成19年以前からの取引となると、令和2年現在からみて、約13年以上前からの取引ということになります。

②については、①を満たしていれば(平成19年以前の取引であれば)、大手のカード会社や消費者金融でも、利息制限法の上限利率を超える利息であった可能性があります。ただし、銀行系のカードローンの場合は、古くから利息制限法の範囲内の利息での貸し付けのため、過払い金は発生しません。

③は、ショッピングではなく、キャッシングの場合のみ、過払い金発生の可能性があるということです。クレジットカードのショッピング機能での利用はどんなに古くから利用をしていても過払い金は発生しません。

④について、過払い金が請求できるのは、借金を完済してから10年以内です。その期間を経過してしまうと、過払い金は時効になるため、過払い金が取り戻せなくなってしまいます。

3.なぜ今でもCMやテレビで過払い金の公告をよく見るのか 

過払い金公告をよく見かける理由としては、主に下記二つが考えられます。

【主な理由】

① 大手弁護士事務所・司法書士事務所の競争の激化

② 過払い金の返還期限が迫っているため

①について、平成12年頃から弁護士事務所・司法書士事務所の公告規制は解除されました。それまでは、過度な広告により依頼者に誤解を与えたり、依頼者の利益を損なってしまう恐れがある他、弁護士・司法書士が広告するなんて浅ましいというような考え方があったようです。

公告解禁後少し経つと、過払い金返還バブルが到来しました。資本力のある大手事務所が案件獲得のため、テレビやラジオ広告を行ってきました。この過払い金返還の手続きというのは、案件にもよりますが、一般的に高度な法律スキルが求められる業務ではありません。しかし、手数料は高く、利益率が高い案件になるため、事務所運営的には、是非とも獲得したい案件です。そのため、各事務所が競争するように公告をどんどん増やしていったという状況だと思われます。

②については、先にお話ししたように、過払い金には時効があります。借金を完済してから10年で時効になり、それ以降は過払い金請求が出来なくなってしまいます。例えば、2010年12月31日に完済した方は、2020年12月31日までに過払い金請求をしないといけません。このように、過払い金請求には返還期限があるため、その内容を全面に押し出し、CM視聴者の関心を得るようにして、広告効果を上げているものと思われます。

過払い金を取り戻すには、2007年以前からの取引で、借金完済後10年以内の取引である必要があるため、今後十年もすると、過払い金案件は、格段に減ってくると思います。

そこで、大手の事務所は、残り少ない過払い金案件を獲得するため、最後の公告競争をしているように思われます。

4.最後に(事務所選びのポイント含む)

大手事務所の公告で過払い金請求というものは、多くの方に認知されたものと思います。現在では過払い金が発生する案件はかなり少なくなっておりますが、もし過払い金発生の可能性がある方は早めに手続きをした方が良いと思います。完済から10年経過で時効になってしまいますし、カード会社が倒産してせっかくの過払い金が戻ってこない可能性も0ではありません。

過払い金返還手続きをお考えの際には、費用体系が明確で資格者(弁護士・司法書士)がしっかりと対応してくれる事務所が良いと思います。CM公告を行っている大手の事務所では、多額の公告費用が掛かるため、その分を手数料に上乗せしていて、費用体系が分かりにくい事務所もあります。また、お客様との打ち合わせを資格者ではなく職員が対応する事務所もあるようです。知名度だけではなく、しっかりとした説明・対応を行ってくれる事務所を選ぶのが良いと思います。

 

司法書士 平石 悠亮

債務整理後クレジットカードが使えないのか、作れないのか

はじめに

債務整理をすると現在のクレジットカードが使えないのか、また新しいカードがどのくらい作れないのかが気になる方が多いと思います。

現在のクレジットカードが使えないのか

まずは現在持っているクレジットカードが使えないのかですが、これは任意整理をするか破産をするかで異なります。

まず任意整理をした場合ですが、任意整理であれば、任意整理をする対象のカードを選ぶことができ、その対象から外したカードは原則として使い続けることが可能です。但し、カード更新時期に依頼者の信用情報(信用情報につき下記リンク参照)を確認する可能性があり、その場合更新できるはカード会社の判断となり更新できるかどうか不明です。

これに対し破産の場合は、すべてのカードが使えません。これは破産の場合は特定の債権者のみに対する支払ができないことによります。

新しいカードがどのくらい作れないのか

つぎに新しいカード作る場合はどうでしょうか。債務整理をした場合の信用情報に関する詳細は下記リンク先を確認していただくとして、破産をした場合、信用情報には免責から5年から10年間事故情報として記載されます。任意整理の場合は完済から5年間事故情報として掲載されます。

信用情報に事故情報が記載されたからといって必ずしもカード会社がカードを発行できないわけではないのですが、債務整理後は新しいカードを作成するのはやはり難しいと思います。

それでも何とかクレジットカードを作りたい方へ

それでも何とかしてクレジットカードを作りたい方がいらっしゃると思いますので、債務整理後でもカードを作れるかもしれない方法をお伝えしたいと思います。

まずはデポジット型のクレジットカードカードに申し込んでみることです。このカードももちろんクレジットカードですが、一番の特色は事前にデポジットとして一定額をカード会社に預け入れをし、そのデポジットの額までしか使用できないカードです。

このクレジットカードも審査がありますので、例えば他社を滞納した状況であれば、審査が通らないかもしれませんが、任意整理をして、返済中であれば、審査が通る可能性は十分あります。

もう一つの手段として、外資系カード会社に申し込みをしてみることです。具体的なカード会社の名前は、差し控えますが、筆者が債務整理するにあたり、あきらかに信用上に事故情報が記載されているにもかかわらず、カードが発行されていたのを見たことがあります。外資系金融機関なので、日系の会社と異なり、カード審査基準が異なるように思います。

まとめ

カードの発行するのは、あくまでカード会社であり、債務整理をした結果の信用情報はあくまでその判断材料です。信用情報に関しては下記のリンク先を参照ください。

司法書士松尾孝紀

 

債務整理のデメリット?信用情報(ブラックリストとは)①

消滅時効の援用とは

消滅時効と時効の援用

借金をした後に、最終取引(最後の返済もしくは借入)より5年以上経過すると借金が時効によって消滅する場合があります。これを消滅時効と言います。

ただ消滅時効は時期を経過するだけで、完成するわけではありません。時効は援用をしなければ最後まで完成しません。

 

時効の援用)

第145条

時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

 

条文上「援用」という単語が使用されており、専門家は消滅時効の「援用」など呼びますが、この「援用」は「主張」ぐらいの意味です(余談ですが、この他にも民法は「善意」や「悪意」といった単語も出てくるのですが、この「善意」「悪意」も通常の意味ではなく、「善意」(事情を知らない)「悪意」(事情を知っている)といった使い方をします)

 

時効の援用方法

では消滅時効を「援用」するためにはどのような方法をとればいいのでしょうか。

これに関して法は特定の方法を規定しておりません。よってたとえ口頭であっても時効の援用はできるわけです。たとえば借金取りが家に押しかけたとき、時効を援用したい場合は書面のやり取りではなく、「この借金につき、消滅時効を援用します」と言えば成立するわけです。

但し、単に口頭でのみで時効の援用をあまりお勧めはできません。なぜなら口頭のみでは、相手側からそんな主張をされた覚えがないと主張される可能性が有るからです。援用の方法は自由にせよ、主張したことが記録に残るようにすべきです。

では専門家はどのように時効を援用するのでしょうか。口頭で先に時効援用することもありますが、大抵の場合は内容証明郵便で時効を援用します。内容証明郵便にすれば時効の援用をした内容の書面を郵送したことを証明することができるので、後々に相手側から時効の援用の事実関係を争うことがほぼなくなります。重要なのは、内容証明郵便であることです。書留等通常の郵便ですと郵送の事実を証することはできますが、時効を援用したことまでは証明できないからです。

あと訴訟を起こされた場合、内容証明を送らず、裁判の中で時効を援用することもあります。これは裁判記録上時効の援用の事実はあきらかになるからです(但し、訴訟の取り下げをなされた場合は内容証明を送ることがあります)

時効の援用の注意点

なお消滅時効は最終取引から5年経過後に原則主張できますが、裁判を起こされていた場合等はその期間がさらに10年以上伸びることがあります。このように相手側が認めない場合もあるため、時効を主張する場合は専門家に一度相談することをお勧めいたします。

司法書士松尾孝紀