①ブラックリストと信用情報

債務整理のデメリットの一つが、クレジットカードが作れなくなることや住宅や車のローンの審査が通らなくなることです。これらの理由は、いわゆる「ブラックリストに載る」からです。
ただ債務整理をした際に「ブラックリスト載る」という表現は、正確ではありません。なぜなら「ブラックリスト」なるものは存在しないからです。債務整理をした場合は、信用情報機関に事故情報(異動情報とも)登録されます。このことをさして「ブラックリスト載る」というわけです。さてこの信用情報機関とはどのようなものでしょうか。

②信用情報機関とは

日本には信用情報機関が3つあります。JICC(消費者金融、審判会社系)、CIC(クレジットカード会社と信販会社)、全銀協(銀行)です(カッコ内は主なその信用情報機関の加盟店です)。この加盟店が情報を登録したり、閲覧したりします。

例えば、ある債務者がA社のカードを使っていましたが、半年支払いを滞納しました。この場合A社は、その加盟している信用情報機関に連絡して、支払に関する事故があったことを報告します。当然A社のカードはこの場合すでに使えません。その後債務者が新たにB社のカードを発行しようとした場合、B社はこの信用情報機関の情報を閲覧します。この場合、A社がすでに報告済みの事故情報が乗っています。よってカードを発行することはありません。このような仕組みにより、情報を共有することで、各利用者の信用情報を収集するわけです。

③信用情報の見方

さて、信用情報にはどのような内容が、登録されるのでしょうか、ここで実際信用情報をみてもらえればと思います。下記アドレスは信用情報機関であるCICのHPで、信用情報の見方が書かれてます。CICの信用情報は主にクレジットカードの審査に使われています

(CICの信用情報の見方)https://www.cic.co.jp/mydata/report/documents/kaijimikata.pdf

色々と書かれてますが、審査に重要なのは、下のページの入金情報(ポイント③)と異動情報(ポイント④)です。
入金情報に関しては閲覧時24ヶ月分しかないので、もし滞納してもその月の分の記録は2年経てば消えてしまいます。
問題は異動情報です。この異動の記載がいわゆる「ブラックリスト」です。これに関してはCICによると「登録日より5年以内」保管されると書かれています。
(CICのこちらのサイトに信用情報の記載の説明がありますhttps://www.cic.co.jp/mydata/report/documents/kaijishosai.pdf)

もし債務整理した場合、いつこの事故情報がなくなるのでしょうか。
これは信用情報機関によって異なります。まずCIC(クレジットカード会社と信販会社)についてはどうでしょうか。
異動情報は「登録日より5年以内」保管されると書かれています。
この記載は「債務整理による和解契約締結後」から5年なのか、「和解契約による借金の完済」から5年という意味でしょうか。
具体的には前者であれば債務整理を着手してから5年、後者であればもし返済期間が5年であれば、10年近くかかります。
この点につきCICに直接確認したところ「和解契約による借金の完済」から5年とのことでした。完済されると信用情報に契約終了の記載がなされ、そこから5年とのことです。

司法書士 松尾孝紀