消滅時効の援用とは

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消滅時効と時効の援用

借金をした後に、最終取引(最後の返済もしくは借入)より5年以上経過すると借金が時効によって消滅する場合があります。これを消滅時効と言います。

ただ消滅時効は時期を経過するだけで、完成するわけではありません。時効は援用をしなければ最後まで完成しません。

 

時効の援用)

第145条

時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

 

条文上「援用」という単語が使用されており、専門家は消滅時効の「援用」など呼びますが、この「援用」は「主張」ぐらいの意味です(余談ですが、この他にも民法は「善意」や「悪意」といった単語も出てくるのですが、この「善意」「悪意」も通常の意味ではなく、「善意」(事情を知らない)「悪意」(事情を知っている)といった使い方をします)

 

時効の援用方法

では消滅時効を「援用」するためにはどのような方法をとればいいのでしょうか。

これに関して法は特定の方法を規定しておりません。よってたとえ口頭であっても時効の援用はできるわけです。たとえば借金取りが家に押しかけたとき、時効を援用したい場合は書面のやり取りではなく、「この借金につき、消滅時効を援用します」と言えば成立するわけです。

但し、単に口頭でのみで時効の援用をあまりお勧めはできません。なぜなら口頭のみでは、相手側からそんな主張をされた覚えがないと主張される可能性が有るからです。援用の方法は自由にせよ、主張したことが記録に残るようにすべきです。

では専門家はどのように時効を援用するのでしょうか。口頭で先に時効援用することもありますが、大抵の場合は内容証明郵便で時効を援用します。内容証明郵便にすれば時効の援用をした内容の書面を郵送したことを証明することができるので、後々に相手側から時効の援用の事実関係を争うことがほぼなくなります。重要なのは、内容証明郵便であることです。書留等通常の郵便ですと郵送の事実を証することはできますが、時効を援用したことまでは証明できないからです。

あと訴訟を起こされた場合、内容証明を送らず、裁判の中で時効を援用することもあります。これは裁判記録上時効の援用の事実はあきらかになるからです(但し、訴訟の取り下げをなされた場合は内容証明を送ることがあります)

時効の援用の注意点

なお消滅時効は最終取引から5年経過後に原則主張できますが、裁判を起こされていた場合等はその期間がさらに10年以上伸びることがあります。このように相手側が認めない場合もあるため、時効を主張する場合は専門家に一度相談することをお勧めいたします。

司法書士松尾孝紀

 

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