はじめに
前回のブログにて、裁判所から書類が届いた場合の一般的なお話をしました。ところでもし、これらの書類が届いた場合に、専門家へすぐに相談できず一人で対応しなければならない場合、支払い督促と訴状それぞれの対応の仕方についてお話したいと思います。
支払い督促の場合
前回もお話しましたが、裁判所から届く書類の内容は2種類で、支払督促か訴状です。
支払督促と訴訟の見分け方ですが、書類の冒頭を見れば「支払督促」、「訴状」と書いてますので、冒頭を確認ください。
まず届いた書類が支払い督促だったとします。まず中身を確認しましょう。内容は少し複雑ですが、借りた会社と借りた額の書類が添付されているので理解できると思います。
支払督促の場合、訴訟に比べ①時間稼ぎがしやすい②返答(督促督促)が容易です。
まず①についてですが、その理由として支払督促は異議申し立てをすると(督促意義という)、訴訟に移行するからです。支払督促から訴訟に移行する際に手続き上、数か月かかるので時間稼ぎがしやすいのです。
②についてですが、督促異議には理由の記載が必要ありません。裁判所から督促異議申立書のひな形が送られてきます。その書式に分割払いを希望する等とありますが、それらの記載は不要です。むしろもし消滅時効を主張できる場合等後日の対応において、不利になる可能性があります。もし現に借金をしていたとしても、書面で認めたりせず、返答としては「専門家と協議したうえ対応を決めたい」、「詳細を確認したうえで対応を決めたい」等でよいと思います。裁判所の書式通りにこの段階で分割払いを認める必要はありません。
注意点ですが、督促異議は、支払督促を受領してからが2週間以内に届くようにしましょう。また裁判所を訪問する必要はありません。なぜなら支払督促は書面審査なので、裁判所に出頭する必要がないからです。
訴訟の場合
訴訟の場合の対応はどうすればいいでしょうか。
支払督促と違い訴訟の場合は本来当事者が裁判所に出廷するのが原則なのですが、実は実務上も訴えられた方(被告といいます)は初回についてはあまり出廷しません、なお訴えたほう(原告)は出廷します、当事者のどちらかが出廷しないと原則訴訟が進行しないからです。よって答弁書だけ返送することを考えましょう。
さて初回の答弁書にはどのようなことを記載すればいいのでしょうか。裁判所からの訴状には答弁書のひな形があるので、回答するのにはさほど困らないかもしれませんが、書式に従って書くことが、あなたにとって一番いい選択とは限りません。
なぜなら訴訟には色々とルールがあり、それを知ったうえで答弁書を書いた方が当然有利な結論になります。
まず訴訟のルールとして、何も主張しないことは相手の主張をそのまま認めることになります。よって何度もいっているように訴状を無視するのはやめたほうがいいのです。
訴訟を速やかに終わらせて、せめて分割払いにしたい場合は答弁書のひな形通り、相手の主張を認め、自分の主張に分割払を希望すると書くのが良いでしょう。相手側も分割払いに応じる可能性は十分あります。しかし、一般的に早期に終わらせるのは債務者にとって損なことが多いですし、消滅時効等他に主張できることもあるかもしれないので、専門家に一度はアドバイスを聞いた方が間違いなくいいです。
私がお勧めするのは、いわゆる「三行答弁」です。三行答弁で検索していただければよくわかると思いますが、何も答弁書を出さないとそのまま敗訴で終了してしまうので、答弁書は提出するけれども、何も答えず次回の裁判にて主張するという答弁書です。何も答えなくてもいいのかと思うかもしれませんが、実務上よくある手段ですので問題ありません。まずいわゆる「三行答弁」を提出し、時間稼ぎをして対応を決めましょう。
まとめ
繰り返しとなりますが、一番してはいけないのは対応を一切とらないことです。できれば時間稼ぎをし、その間に専門家に相談するのがお勧めです。