過払い金
難しいと思います。過払い金は利息制限法の上限利率を超えて弁済した分の返還請求権です。平成20年頃までは、消費者金融はこの利息制限法を超えた利率で債務者に請求していました。この利息制限法を超えた金利は合法かどうか争いがあったのですが、判例の積み重ねと法改正によって、利息制限法を超えた金額では請求できなくなりました。消費者金融が貸し出しの利率を利息制限法の上限以下にしたのが、平成20年頃であり、平成22年取引開始ですと適正な利率で貸し出しをしていると思います。
使用開始日が古く過払い金請求が出来そうにも思えますが、ショッピングローンの過払い金請求は難しいです。過払い金請求というのはあくまで利息制限法の上限金利を超えた額の請求なのですが、ショッピングは利息制限法の対象外だからです。ショッピングでのカードの使用は、利息制限法が適用されるお金の貸し借りではなく、カード会社(例えばJCB等の会社)がカードを利用した店(例えば飲食店や小売店)に代わりにお金を支払い、その分をカード利用者に請求するという立替金なので、利息制限法の適用がないからです。
過払い金にも請求の消滅時効はあります。最終取引から10年です。注意が必要なのはあくまで最終取引から10年であって、利息の変更時期ではないということです。例えば契約開始が2005年で、利息の変更が2008年、その後取引を継続し(長期間の空白はないものとします)、借金の完済が2015年だとします。確かに利息制限法の上限を超えた利息の期間は2005年から2008年までですが、最終取引は2015年なので、時効の成立は2025年となります。
任意和解のメリットは、過払い金を取り戻すまでの期間が比較的早いことです。訴訟の場合は過払い金の入金まで一年かかることも珍しくないですが、任意和解の場合半年程度もあれば入金されます。訴訟の場合は、過払い金を受け取れる金額が多くなるメリットがあります。任意和解だと過払い金額の全額を必ずしも受け取れませんが、訴訟だと全額受け取れる可能性が高いです。また過払い金の利息に関しては任意和解ではまず受け取ることが出来ませんが、訴訟ならば請求可能です。
これは債権者によって異なりますし、任意和解か訴訟かによっても異なります。目安ですが、任意和解の場合は半年以内、訴訟の場合は半年から一年ぐらいだと思います。
同一の会社から長期間の借り入れをしている場合を例に考えてみます。
例えば、2000年から2008年までの取引を「取引①」、2010年から2020年の取引を「取引②」とします。なお、2008年から2010年の間は取引がなく、「取引①」と「取引②」は別取引とします。
「取引①」は過払い金が発生しているのですが、2008年から10年経過しているので債権者側が消滅時効を援用することがあります。このように「取引①」と「取引②」は別取引との債権者側の主張を取引の分断の主張といいます。逆にこれを「取引①」と「取引②」の取引が同一であるとみなすと消滅時効の起算点が今回の例では2020年となりますので、消滅時効が主張できず「取引①」の過払い金が請求できることになります。また今あげた例は「取引①」が消滅時効に当たる場合でしたが仮に消滅時効に当たらない場合でも、「取引①」と「取引②」を別に計算するより、「取引①」での過払い金を「取引②」に充当して一連で計算したほうが過払い金の額が大きくなります。よってこの取引の分断主張が認められるかどうかで、結論が全く異なることになります。
ではこの取引の一連性の判断をどのようにするかですが、基本契約が同一あるか(会員番号が同じ等)や空白期間の長さ、その他取引具体的な状況(カードや契約書の返還等)で判断することになります。