時効の援用
消滅時効の主張をすることで、払う必要がなくなる可能性があります。ポイントとなるのが
①最終の借り入れもしくは返済から五年経過していること②いままで裁判所から(債権者からではありません)その借金のことで書類が郵送されてこなかったかです。消滅時効に関しては一般の方では判断が難しいところがあるので、是非専門家にご相談ください。
なお消滅時効に関しては下記ブログを参照ください。
借金は原則5年で消滅時効にかかりますが(民法166条1項)、債務の承認(債務の一部弁済もこれに当たります。民法152条1項)、裁判上の請求(民法147条2項)、差押等(148条2項)によって、一度経過がリセットされ新たにその進行を始めます。特に裁判等を起こされた場合は、5年ではなく、10年に延びてしまいます(民法169条)。最終取引から五年経過しているのは明らかでも、訴訟を起こされて時効の成立期間が延長されている可能性がありますので注意が必要です。
訴訟が成立するためには、訴状を特別送達で郵送する必要があります。特別送達はポストに入れるだけの郵送方法ではないのですが、同居人に渡すこともできますし、要件さえ満たせば付郵便送達と言って発送した段階で郵送したとみなされることがあります(民事訴訟法第107条3項)。判決等の確認ですが、債権者に判決文の写しをもらうか、事件番号を教えてもらい裁判所に電話で確認するなどが考えられます。
消滅時効の援用の可否は、当該状況によります。最高裁判例によれば、時効期間経過後に、債務を承認した場合、信義則により消滅時効の援用を認めないという判決(最高裁判所昭和41年4月20日大法廷判決)があります。この判決のポイントとなるのがあくまで「信義則に基づき」ということです。支払い時の状況によっては、信義則に反しないのであれば時効の援用が認められます(下級審では多数時効の援用を認める判決がでています)。但し一般の方がこの場合に時効の援用を主張するのは難しいと思いますので専門家に相談すべきだと思います。