同一の会社から長期間の借り入れをしている場合を例に考えてみます。
例えば、2000年から2008年までの取引を「取引①」、2010年から2020年の取引を「取引②」とします。なお、2008年から2010年の間は取引がなく、「取引①」と「取引②」は別取引とします。
「取引①」は過払い金が発生しているのですが、2008年から10年経過しているので債権者側が消滅時効を援用することがあります。このように「取引①」と「取引②」は別取引との債権者側の主張を取引の分断の主張といいます。逆にこれを「取引①」と「取引②」の取引が同一であるとみなすと消滅時効の起算点が今回の例では2020年となりますので、消滅時効が主張できず「取引①」の過払い金が請求できることになります。また今あげた例は「取引①」が消滅時効に当たる場合でしたが仮に消滅時効に当たらない場合でも、「取引①」と「取引②」を別に計算するより、「取引①」での過払い金を「取引②」に充当して一連で計算したほうが過払い金の額が大きくなります。よってこの取引の分断主張が認められるかどうかで、結論が全く異なることになります。
ではこの取引の一連性の判断をどのようにするかですが、基本契約が同一あるか(会員番号が同じ等)や空白期間の長さ、その他取引具体的な状況(カードや契約書の返還等)で判断することになります。